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【業界解説】IT業界で働くために

IT業界で働くために特別な資格は必要ない

少子高齢化やインターネット利用の急拡大などを受け、IT業界の人手不足は深刻化しています。よって、IT企業各社は未経験者の採用も積極的に行っている状況です。ITやエンジニアとしての知識はいずれ必要となりますが、実際の業務に携わりながら学ぶこともできるため、特に資格を持っていなくてもIT業界で働き始めることは可能です。一方、変化の速度が早く激しい業界でもあるため、そのスピード感について行くためには日々の業務だけでなく、それ以外に自己研鑽などの努力も必要となってきます。

IT業界には未経験でも挑戦しやすい業務から、経験や資格が必要な業務まで様々な職種が揃っています。中にはある程度業務がマニュアル化されて、経験が浅くても挑戦しやすい領域や実務経験の少ない若者向けの業務もあります。ソフトウエアの動作をテストする工程を例に取ると、テストの実施を担当するテスターとテスト工程を計画・設計するテストエンジニアとで役割が異なります。前者はテスト計画書に沿ってテストを実施することが主な業務のため未経験者でも担当することが可能で、その過程でITやエンジニアとしての基本的な知識を学ぶことができます。一方、後者は高い品質やセキュリティを確保するためにプログラミングやテスト技法に関する深い知識と経験が求められます。

担当する業務によっては専門的な知識が必要になることもありますが、各ステージで必要な資格を取りながらキャリアをステップアップしていくことになります。資格を取得することで必要な知識を体系的に学ぶだけでなく、自身のスキルの対外的な証明にもなります。キャリアアップにはある程度の実務経験が求められますが、若くても高い技術力と知識があり、実績を示せれば早い段階でもどんどんステップアップしていけることがIT業界の特徴でもあります。

IT業界へのエントリーポイントは一つではない

IT業界ではビジネスにおけるニーズやエンジニアとしての専門性などを踏まえて職種が分かれています。コンサルタントやエンジニアとして社内外でキャリアアップしていく道だけでなく、働き始めてから自分の適性がわかり、大きくキャリアチェンジすることもあり得ますし、スキルを身に付けてフリーランスになることも選択肢の一つとなります。段階的に経験を積み、スキルを向上させることでキャリア形成につなげていくことができます。

現在、SIerではコンサルティング分野やシステム開発の上流工程を強化している真っ最中です。一方、ユーザー企業では効率的なDX対応などを目的にシステムの内製化を進めており、必要な技術者を積極的に雇用するようになってきました。その結果、中途採用も増加しており、スキルのある技術者は下請け企業から顧客企業や元請け企業などへと転身するケースも出てきています。

プログラミングの素養はあった方が良い

ソフトウエア開発の基本となるプログラミング言語は歴史的な経緯を経て、より生産性が高く複雑な業務に対応できるよう進歩してきたため、用途や実行環境、開発規模等に応じて様々なプログラミング言語が使われています。よって、扱えるプログラミング言語によって担当できる業務も変わってくるのが一般的です。また、論理的思考力が身に付くため、ITエンジニアとしてだけでなく幅広い職種においてプログラミングのスキルは評価される傾向にあります。

例えばWebエンジニアであればJavaやJavaScript、PHP、Rubyといったプログラム言語がよく使われています。データベースの設計・構築や運用にはSQL等のデータベース言語の知識が有用です。大型コンピュータ向けシステム開発ではCOBOLやPL/1などが主な使用言語ですが、移行目的でJavaの知識を求められることも増えています。

それぞれプログラム言語の開発元や関連団体等が、当該言語に関する知識やスキルを認定する資格取得のための試験を実施しています。

幅広い分野でのスキルが求められるようになる

さらに、キャリアが上がるとプログラミングのスキルだけではなく、そのシステムが使われる業界の知識や顧客とのコミュニケーション能力、プロジェクトの予算や人員、進捗管理などのマネジメント能力など、幅広い分野でのスキルが求められるようになります。

情報処理技術者試験は情報処理技術者としての「知識・技能」の水準が、ある程度以上であることを認定している国家試験です。情報技術の背景として知るべき原理や基礎となる技能について、幅広い知識を総合的に評価しています。

試験の種類はいくつかありますが、例えば基本情報技術者試験やソフトウェア開発技術者試験はプログラム開発に関するものであるのに対して、初級システムアドミニストレータ試験は情報技術に関する一定の知識・技能を持った上で利用者の立場から情報化を推進する者を対象として幅広い範囲の知識や経験が求められる等、業務内容によって異なる資格を取得できるように区分されています。